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輝く朝 .... 北原白秋/山田耕筰
輝く朝
北原白秋
一、
朝は呼ぶ、
朝はかがやく聲が呼ぶ。
春だ、うしほの渦が巻く
乗れよ、南風のあげ潮に
汽笛が鳴る、
赤い蒸汽の汽笛が鳴る。
二、
朝は呼ぶ、
朝はかがやく聲が呼ぶ。
春だ、火の粉の華が咲く。
鍛へ、鎔爐の錬鐵工。
風が鳴る、
革と、車輪の風が鳴る。
三、
朝は呼ぶ、
朝はかがやく聲が呼ぶ。
春だ、みどりの風が吹く。
鋤けよ、地平のはてまでも、
犁が鳴る、
二十馬力の犁が鳴る。
四、
朝は呼ぶ、
朝はかがやく聲が呼ぶ。
春だ、煙の森が立つ。
仰げ、摩天のビルデング。
旗が鳴る、
旗が電波の息に鳴る。
五、
朝は呼ぶ、
朝はかがやく聲が呼ぶ。
春だ、ガードの山が積む。
吊れよ、起重機、ワイヤロープ。
鎚が鳴る、
電氣地行の鎚が鳴る。
六、
朝は呼ぶ、
朝はかがやく聲が呼ぶ。
春だ、朱紅のブイが浮く。
潜れ、波間の潜水夫。
ゴムが鳴る、
管の空氣の張りが鳴る。
七、
朝は呼ぶ、
朝はかがやく聲が呼ぶ。
春だ、キネマのピラがちる。
架けろ、アンテナ、川蒸汽。
鐘が鳴る、
花は上野か、鐘が鳴る。
八、
朝は呼ぶ、
朝はかがやく聲が呼ぶ。
春だ、地獄の門があく。
穿て下水のどてつ腹。
鐘が鳴る、
そろふハンマアの腕が鳴る。
九、
朝は呼ぶ、
朝はかがやく聲が呼ぶ。
春だ、タンクの鳩が啼く。
笑へ、競馬の赤ガウン。
鞭が鳴る。
シルクハットに鞭が鳴る。
十、
朝は呼ぶ、
朝はかがやく聲が呼ぶ。
春だ、雲霞の人が湧く。
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角が鳴る。
遠いボギーの角が鳴る。
十一、
朝は呼ぶ、
朝はかがやく聲が呼ぶ。
春だ、ニュースの雲が湧く。
翔ろ、つぶての傳書鳩。
紙が鳴る、
朝は輪轉機の紙が鳴る。
十二、
朝は呼ぶ、
朝はかがやく聲が呼ぶ。
春だ、ラジオの歌が飛ぶ。
光れ、プロペラ落下傘。
空が鳴る、
明けて近づく空が鳴る。
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